坂本慎太郎LIVE2022 @キャバレーニュー白馬 フィルム上映会

DJ界隈、そして洋楽好きな人達や外国人にも人気の高い日本が世界に誇るミュージシャン坂本慎太郎のフィルム上映会のレポートが届きました。
こちらのブログではもうお馴染みのStradaのお客様で飲み友達でもある神戸在住のDJ/レーベル主宰者ushiro氏による寄稿です!

 

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坂本慎太郎 LIVE2022 キャバレーニュー⽩⾺

坂本慎太郎のライヴのフィルム上映会@大阪・味園ユニバースを⾒に⾏ってきた。坂本慎太郎の「Like A Fable」と題された2022年度のツアーのキャバレーニュー白馬 (熊本県)での公演を収録・編集したものである。



坂本慎太郎のライヴについては昨年11月の同じ味園ユニバースでの公演を、事前にチケットを購入するも仕事のため泣く泣く諦めただけに、そのリベンジでもある。ちなみにStrada Recordsの店主はそのライヴに行き絶賛していた。

 

坂本慎太郎と僕

坂本慎太郎を知ったのは僕が17歳の頃だった。 当時僕は受験勉強で図書館の⾃習室へ通っており、休憩時は貸出コーナーへ⾏って読書を楽しんでいた。 その時に偶然⼿に取った本が坂本慎太郎の『SHINTARO SAKAMOTO ARTWORKS 1994-2006』という画集だった。 

SHINTARO SAKAMOTO ARTWORKS 1994-2006

 

その画集には坂本慎太郎がデザインしたフライヤーやアルバムジャケットが載っていた。 可愛くもありサイケデリックな危険さも含んでいるデザインが、当時の⾃分には初体験で衝撃だった。 画集の中にある⼈の⽿にギターのシールドを差し込んで演奏し、そいつの脳味噌が爆発するという描写があるのだが、それを見た僕の脳味噌もまさに弾け⾶んだ。 そうして受験が終われば坂本慎太郎率いるゆらゆら帝国のライヴへ自然と⾜を運ぶようになった。

 

 

-坂本慎太郎 LIVE2022 キャバレーニュー⽩⾺-

今回の上映会場、味園ユニバースはキャバレーをリノベーションして作られた、昭和の雰囲気が漂うライヴハウスである。映像内の会場のキャバレーニュー白馬も同じ昭和のキャバレーということで、映像でのライヴとはいえ、その没入感~シンクロ率は余裕で100パーセントを超えていた。
その⽇の舞台には三⾯鏡のように複数のスクリーンが配置されており、開演前はDJがその横でプレイしていた。

キャバレーニュー白馬 (熊本県)

 


味園ユニバース(大阪府)

 

18時を回った頃に坂本慎太郎自身によるアナウンスが流れ上映が始まった。 今回のバンド・メンバーはベースのAYA、ドラムの菅沼雄太、管楽器の⻄内徹、そしてギター&ヴォーカルの坂本慎太郎という編成。 この度の編集は、電気グルーヴのドキュメンタリー作品でも知られている⼤根仁監督が起用されていた。16 ミリフィルムで撮られており、70sアメリカン・ニューシネマのような、粒⼦の荒い画質が元キャバレーの雰囲気と合っていた。 またメンバーの正装の⾐装が上述の時代を思い起こさせ、まるで映画のワンシーンでライヴハウスに迷い込んだようなカットだった。 3⾯のスクリーンには異なる⾓度で撮影・編集された映像が流れるという凝りようで、メンバーの表情を⽴体的に投影していた。

以下、印象的だった曲を中心に紹介していきたい。

 

『それは違法でした』

ライヴは『それは違法でした』からスタート。イントロの打ち込みのビートや坂本慎太郎のギターが印象的な楽曲である。
ライヴでの生音のギターを聴くと、ゆらゆら帝国時代の坂本慎太郎が僕の中で蘇った。しかしながら⻄村⽒の添える吹奏楽が加わると、当時、すなわちゆらゆら帝国時代とは全く違うアプローチ、アレンジへと生まれ変わっていた。

 以下、SPOTIFYの埋め込みは本ライヴではなくオリジナル・ヴァージョン

 

 『スーパーカルト誕⽣』

2 曲⽬はスーパーカルト誕⽣』。「♪2000 年前それは⽣まれ、2 年後にこの世は滅びた」 この歌詞に感極まって涙が溢れた。 坂本慎太郎は表現者であり詩⼈なのだ。 客観的に物事を抽出する⼒に⻑けている。 何気ないこの歌詞が、僕の知る坂本慎太郎の"言い回し"なのだ。 15年前の学⽣時代、近場の坂本慎太郎のライヴには必ず⾜を運んでいた。 働き出してからも坂本慎太郎のライヴ・チケットをかかさず購⼊していたが、毎度の如く仕事で⾏けなかった。 船乗りという仕事柄、不定期的に遠方に航海に出ることが多く、物理的にライヴに行けない事態が発生するのである。
この度の上映会は⾔うなれば、働き出してから叶わなかった念願の坂本慎太郎だったわけで、積年の思いが溢れ出たのだろう。

 

『死者より』

その後数曲を挟んでシングル曲『死者より』が演奏された。 坂本慎太郎がギターを置き、コンガを演奏しているパーカッシヴなPVとは違い、ギター演奏を添え たアレンジが加えられていた。

 

 

『愛のふとさ』〜『仮⾯をはずさないで』

⻄内⽒の管楽器から始まるアダルトな⾊気を放つ『愛のふとさ』。それはライヴでも健在であった。 その後坂本慎太郎のギターが印象的な『仮⾯をはずさないで』が演奏された。 この辺りでスクリーン内の会場キャバレーニュー⽩⾺はヒートアップし、かなりの盛り上がりを⾒せ始める。

 

盛り上がった流れのまま『幽霊の気分で』『まともがわからない』『あなたもロボットになれる』というシングル曲を連発した。

 

そして『君はそう決めた』へと移った。

「♪⼀⼈で何かをやろうとしてる」 そう歌い始めるこの曲は、ゆらゆら帝国解散後の坂本慎太郎の⼼境を語っているのだろう。 グループを解散してレーベルを⽴ち上げ、この頃の坂本慎太郎はギターやボーカルの他にベースなども⾃分で演奏している。 その頃はライヴ活動については「イメージがつかない」ということで休止していた。それがこんなに仕上がっているライヴをするに⾄っている事が⼀ファンとして⾶び上がる程に嬉しく、また感慨深い。

 

終曲〜アンコール

『ディスコって』で本編は締めくくられた。 その後ステージから捌ける事なくアンコールが始まった。 グリム童話のような、可愛さと不安が共存する『ある⽇のこと』。 そしてこの2022年度の「Like A Fable」ツアーの総括のような『物語のように』で幕を閉じた。

 

その後エンドロールが流れた先に再びメンバーが登場し、喝采のなか⼤ラストの曲『ツバメの季節に』が演奏された。コロナ期に発表された、まるで当時のパンデミックを問いかけるような曲である。 こちらも⻄内⽒の管楽器がアクセントとなっており、空っ⾵のような寂しさが彷彿とされていて良い。 アウトロに向かって⻄内⽒と坂本慎太郎の掛け合いが⾼まっていき、上映は幕を閉じた。

 

 

ライヴ・ヴァージョンではないが、この日のキャバレーニュー白馬のセットを連続して楽しみたい人にはこちらに親切な方がプレイリストを公開されているのでSPOTIFYユーザーの方は是非。

 

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 Text by ushiro  
音楽レーベルTecchu Co.,Ltd.を運営する神戸在住のDJ兼航海士。

2024.05.03-04に大阪で行われる野外フェスMemories of the Futureのスタッフでもあり両日共DJとして出演予定。
レーベルとしてはお抱えartist ”Ku’damm”の新曲を絶賛レコーディング中。

Film上映会Live performance坂本慎太郎

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